雑感

アンカレッジ空港の熊

気がつけばもう7月。

大分ご無沙汰していました。

パンデミックはおさまるどころか…の状態で1年半が経過しました。未だアフリカ大陸横の大西洋上の島でおとなしく暮らしています

 

55-1

 

それは日々の何気ない会話。夫のSNS上で誰かの投稿を見ての事だったと思うのですが、

「僕たちは同じクマを見ていたんだよ」ぼそっと彼が言いました。

「なに?」と私。

ソヴィエト連邦崩壊以前欧州に行く航空ルートにアラスカのアンカレッジ空港経由(トランジット)があったそうです。夫も数少ないけれど、経験があるそう。そのアンカレッジ空港にあった熊の剥製の写真を誰かが載せているのを見て、彼にしては珍しくポエムな一言が出たので思わず聞き返しました。熊のキャラクター好きもあり、何となく交わしたこの会話を覚えていました。

 

私が生まれる前は1ドル360円固定。初めて欧州に行った30年近く前(歳がわかりますね)格安と呼ばれる航空券を扱う会社が多少はあったと思うのですが、まだまだ高額でした。その格安航空券を扱う会社で買ったアエロフロート。モスクワ1泊が必要で、同じ飛行機に乗っていた日本人数名と指定されたホテルに泊まりました。「もう2度とこの航空会社には乗らないと思うんだけれど、ついつい値段につられて予約して、乗って…そして後悔するんだよね」。ひとりの方が笑いながら話していました。当時の私は何も知らない、数名のうちの最年少。ふーん?と聞いていましたが、私以外は皆欧州のそれぞれの都市に在住していていた人々。皆一同に、ホントそうだよね〜ははは…という感じでした。今はその会話に含まれていたニュアンスがわかるような気もします。

 

 

55-2
東京駅丸の内側。東京ってすごいなーと改めて思う。

 

世界中が今もなおパンデミック。ワクチンの接種は進んでいますが、国を超えての移動はまだまだ制限や不自由が強いられています。従来の自由な移動が可能になった時、今までと同じような価格帯で飛行機に乗ることはできるのか、そしてそれは正しい値段なのか、今までが安すぎたのではないか、等色々思うところあります。安いことは有難いことではあるけれど、二酸化炭素排出量が問題視され、観光がストップした後の今、失われた分を取り戻すべくまだ充分に安全とは言えない現在に観光を叫ぶのもどうなんだろう?と思ってしまいます。みんな旅に出たいし、今までの日常が戻って欲しいと思うのは当たり前だとしても。そうは言っても島発のLCCは格安チケットを発売していて(夏休み前のプレバーゲン?)友人も弾丸旅行をしていたようですが、片道5ユーロってどう考えても成り立つとは思えない。少し前まではスペイン国内バス会社の格安券に乗っていましたし、10万円未満で日本を往復してはいましたが、どんどん安くしていく手法はもうどこかで考え直すべきだと思うのです。飛行機だけでなく何に対しても。

 

 

 

若い子が日本を出て、いろいろ戸惑いながら慣れない生活に奮闘しているぼやきのようなものをインターネット上で見かけます。ぼやき対象がヨーロッパの場合は不条理を分かち合える仲間、ようこそ!です。それらは通過儀礼、頑張って!と思うのと、そういうことで驚くのか…とこちらが驚くこともしばしば。個人が自由に情報を発信できる今だからなのか、アラスカのクマを見ていた外国生活のパイオニアの方々の知見に、最近はこころ揺さぶられます。歳をとったからでしょうか?それとも老婆心?

日本は島国で単一民族。移民もほとんどいないに等しいです。可能であるなら大人になってからではなく、学生の時に誰もが外の世界を見ることができるような教育機会があると良いのでは?と最近思います。外の世界に出たい人、逆に微塵も魅力を感じない人、二極化なのは、日本がデフレで良いサービスがあって、わざわざ苦労しなくても暮らせる社会があるから?それらが徐々に崩れていくとしたら若い子はどういう選択をするのでしょうか。もしかしたらアラスカのクマはほんの少し前に限られた人が見て経験したインテリジェンスの象徴であったのかもしれない。

ヨーロッパって結局何年経ってもコンピューターひとつも作れていないじゃん、は夫の名言だと思うこの頃です。

*****

余談:インターネットでアンカレッジ空港の熊を画像検索すると何かしら見ることができます。個人的に映画の「ホテルニューハンプシャー」の剥製になった熊が好きなので、それに似たものにすごくそそられてしまいます。