スペイン ロマネスク

パレンシア・Palencia

 

1年前になりますが、友人夫婦とマドリードに遊びに行きました。

ロックダウン。その翌年に2回目のワクチン接種終了。自分の中で少しだけ外に出ても良さそう、と思えた頃でした。ここは税金の関係もあって、基本的に通販の商品が届きません。最近は新たなサービスが提供されているようですが、知人の家に注文したまま預けている物の引き取りもありました。そしてこの旅に、今まで何度も計画して行かれずにいたパレンシアという街への訪問をぶちこみました。

旅に出ることの楽しさを改めて感じた、このひとことに尽きる!

日常の生活で、外出することが好きではない私でも、移動の制限があったこの2年近くは島暮らしということもあってか、孤立したような気持ちをことあるごとに感じていました。

友達夫婦と勝手知ったるマドリードを歩いて、キャーキャー言いながらラーメンを食べる、ユニクロに行く。都会は何でもある!彼らと別れてから、マドリードの日本人の友達とお茶をしたあと、夕方パレンシアに向かう電車に乗りました。下草の枯れた相変わらずの砂漠のような景色を見ながら、1.5時間ほど、ああ、これが失われていた日常でもあったのだ、きっと他の人も味わっただろう移動の自由を感じていました。

 

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見方によっては怖い?かもですが、ようこそって迎えられている感じがしました

 

ホテルに着いて、近所のバルで軽くビールを飲んで、殆ど人が歩いていない旧市街をカテドラルの方向に向かう。夜はもう肌寒かった。知らない街を歩くわくわく感。もちろん危なくないよう、大きめの通りを選んで。島にはこういうヨーロッパの田舎のどこにでもあるような風景が無いので、いいなあ、いいなぁと噛み締めながら。カテドラルの外観だけ見てホテルに戻りました。

老人ばかり集まったロマネスクの講座を受けていた時、一人のおじいさんが、「パレンシアのロマネスクにはスペイン人の魂がある」と話していたことが心に残っていました。パレンシア出身の友人にも勧められてはいたのですが、過去に何度もこの街に来ることを計画しました。近隣のフロミスタという街に、この辺のロマネスクのシンボル的聖堂があるのですが、そこに向かう電車が1日1本とか、帰りも悲惨で到着して1時間後くらいの電車しかなく、行く意味がない時間割で実現出来ていませんでした。今回は2泊して、どうやら路線バスも走っているようだったので敢行しました。

 

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San Martín de Tours (Frómista)

 

それでも残念なことに、午前中の閉館間際に到着だったため、内部をじっくり見られず!ぎりぎり飛び込んだ私に、おそらく自分のお昼休みを削って少しの間待ってくれた受付のお姉さんに感謝。この素晴らしいロマネスク。いつの日かまた。帰りのバスの時間までバルでお茶を飲み、別の建物を見に行ったり、外観の持ち送りを双眼鏡でのんびり眺めることができました。本当に佇まいの美しい聖堂でした。

今回の旅で、電話(スマホ)がいきなりブラックアウトして、充電を一切しなくなってしまいました。カナリア諸島の一つの島の火山がこの年の9月に噴火したので、ラバが流れている映像を一晩中つけて、2日目の晩は殆ど眠ることができませんでした。電話がないと電車のチケットや時間にも困ることを教訓に。それでも無事にマドリードで友達夫婦と落ち合うことが出来ました。以前住んでいた地区で朝ごはんを食べたり、勝手知ったる場所で買い物をして大満足。その後、また旧市街方面に移動して、マドリードの友人と友人夫婦と一緒にお寿司を食べて、大いに喋り、彼女をタクシーに乗せてから我々も準備をして空港に向かいこの旅を終えました。

この時は夏の終わりで、冬に向かってコロナの感染がまた強まる前でもあったので、周囲の人も比較的注意しつつも開放感を楽しんでいるような感じがありました。その後の旅でもっとカオスな感じを味わったので、少し気候がよくなって来た頃に、コロナ前の旅を感じることができたと思います。スペインの小さな街に住むのはどんな感じだろう?と訪ねる度に思います。都会と比べると街が綺麗で、こじんまりしていてとても良い。パレンシアは川が流れていて、人々が川沿いをのんびり散歩している、美しい聖堂がいくつもある。考古学博物館もなかなか見ごたえがありました。

旅は本当に良い。