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備忘録/ Memorandum

【ヨーロッパ好き女子】*画像は拡大できます。

ヨーロッパが好き!と付け入る隙を与えないくらいヨーロッパにしか興味がない的主張をすることの是非について長いこと考えているのですが、未だこれに対する結論が自分の中で見出せません。なぜなら自分も立派なヨーロッパ憧れ組の一員であり、矛盾を抱えているからです。
私は殊フランスに強い関心を持っていますが、日本人はヨーロッパ(漠然としていますが)に対して無条件に好きという傾向があるように思います。フランス好きな私でもヨーロッパ以外は大して興味がない、とは決して言えないですし、またそのように思っていません。なぜ結構簡単に言い切れるのかが不思議であり、苛立つ反面、本当のところ自分も同じなのでは?と思えてならないのです。
大抵興味がないと言い切ることの矛先はアメリカが関係することが多く、アメリカを簡単に悪く言ってしまう傾向があるように思います。例えばハロウィンですが、最近は東京の一部も大騒ぎのようですね。スペインでも仮装して歩いている若者を見かけるので定着しつつあるのでしょう。アメリカの習慣だから、と何度も聞いた気がしますし、自分もそう思っていましたが、本来はアイルランドの習慣なのだそうです。(下記リンクの動画を参照。大使館のwebsiteにあった動画が無くなっていたので、ツイッターから拾ってきました。)もう一つは復活祭です。リンツチョコレートのうさぎは完全にこの時期の定番となっていて、鶏と卵が押され気味のような...うさぎ=多産、清らかさの意味があるようですが、アメリカのペンシルベニアに渡ったドイツ移民から広がったのでは、という説があるそうです。悪いものは全てアメリカから、みたいな流れもどうかと思っています。
Live Science: Where Did the Easter Bunny Come From? Ask This Dead German Scientist


  
  
アイルランド大使館制作のハロウィンの動画です。    
特に日本を出て暮らすようになってから、国を意識せず、先入観を持たず、好奇心や自分のやりたいことのために動いている人に出会う機会が増えました。彼らはとにかく話が面白いに尽きるのですが、機会が増えたことは今住んでいるスペインという土地柄、スペイン人にはあまり関係がありません。むしろ欧州人は家族との結びつきを大切にするがゆえ、自国以外で職を検討するような場合もヨーロッパからは離れたくない、という傾向の人の方が多いように思います。人に出会う機会が増えた理由は、ただ単に夫がアカデミアに戻ったので、夫の関係の人にそういった線引きのない人が多いためです。大抵2,3年契約の雇用なので仕事がある場所を渡り歩くことになり、経験値が自然と高くなってしまうことが話が面白いことに起因するのだと思います。スペインで出会った人たちがつまらない、というわけではありません。大抵の人は今ある仕事や家族の問題を持っているので、場所を選ばず移動する人の方がむしろ少数派です。
移動が自由な人と不可能な人との差はどのように表れるのか?私の考察は、固定観念や先入観にとらわれないこと、こだわりを捨てることに尽きると思います。家族が大事なラテン系、特にスペイン・イタリア人でも外に関心がある人はどこに住んでいてもオープンマインドな人が多い。会話をすると何となくわかるのですが、それでも実際に住むと住まないとでは認識の度合いに繋がるのも事実です。
新しいものといえばそのほとんどがアメリカ由来であること、Apple、amazon、映画に音楽、Tesla、instagram、挙げればキリがありません。私は初めて行った外国がアメリカでした。ヨーロッパにしか興味がないのは個人の自由や好みの問題かもしれませんが、アメリカってそんなに嫌かな?と思います。機会があれば住んでみたい街もたくさんあります。アメリカのどこでもいいわけではありませんが、それはヨーロッパでも日本でも同じです。  


個人的に面白いと思ったエピソードですが、夫の友人のアメリカ人は、イギリスの大学やヨーロッパに移動してくると、自分の原点に戻った、とヨーロッパ開眼する人がいるそうです。言わずもがな、アメリカは移民の国です。古い建物がそのまま残る統一された街並みに暮らして、ヨーロッパ好き女子的傾向が表れるアメリカ人もいるとのことなのです。
こだわりは持たないようにしようと意識していても、再び日本で会社に属して働くには、満員電車や日本的会社ルールが脳裏をよぎり、戻ることに躊躇してしまいます。会社に属す働き方が全てではありませんが、一度国外に出てしまうと日本の社会の特別さはよくわかっているので、私自身二の足を踏んでしまうことでもあります。
私がマドリードで一番嫌なことは、街が汚いことです。本当に汚い。スペインの田舎はこんなに汚くはありません。国民の大半がカトリックの国で、公共の場所がこんなに汚くていいの?と不思議でなりません。自分の家は大抵ピカピカに磨き上げる人が多いのに、掃除は掃除をする人がやること、の認識があるように思います。役所関係のカオス加減は欧州どこも似たり寄ったりだと思うのでスペインだけの特徴とは思いませんが、そろそろ移動の時期だと最近思うようになりました。人もおおらかで非常に住みやすいのですが、変化を求める理由はいくつかの理由が重なってのことです。別の視点でまた次回...。