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備忘録/ Memorandum

【安心できる店】

*画像は拡大できます。
私が今住んでいる地区は大学に近い学生街の一面もあり比較的庶民的です。大通りを隔て少し下るといわゆる億ションが立ち並ぶと言われる地区があり目の前は大きな公園が広がっています。スーパーマーケットは何種類もあり、デパートも家から200メートル内にあり非常に便利な地区です。20年間で一箇所に3年以上住むのは初めて(引越しが大好きでした)なのですが、すっかり愛着のある場所になりました。マドリードやバルセロナは最近賃料の上昇が見られるのですが、お店の入れ替わりも結構あるように感じます。そんな中、比較的長い期間、変わらない(だろう)様式で営業している家の近くのお気に入りの店についてご紹介します。
左の暗い写真は12月の朝7時30分頃です。12月から1月の日の出は8時30分くらいなので、まだ空は暗いです。このお店はスペインで言うところの午前中のみの営業で、13時から13時半まで開いているスペインの朝ごはん屋さんです。平日は6時、日曜日は7時から毎日、50年近く営業しているとのことで、特にチュロスとチョコラテが有名なお店です。スペインのバルによく見られる、果実のオレンジを絞って作るジュースの機械や、一般的な甘いパンもあります。




もう1軒は、クラシックな感じのバルで、この店のアール・デコっぽい感じはすごく好きです。空いている時と、人でいっぱいの時がありますが、空いている時はゆっくり本を読めます。客の年齢層は高めです。地階にあるトイレの横に何やら部屋があり、おそらく会合に使えるような部屋があるようです。マドリードに長く住んでいる知人とこのお店でよく待ち合わせて話をするのですが、昔はそのような場所を備えたバルがいくつかあった、とのことです。店名のTamborは太鼓の意味で、ここも40年近く営業しているそうです。
つい先日近所を歩いていたら新しいお店を見つけました。オーガニックの文字と、美味しそうなケーキやパンが並んでいました。昨今はスペインにもおしゃれなカフェが多くなり、内装や甘いもの系の陳列にも凝ったファンシーなお店が増えました。私なんかは在西生活がまだ浅いのでコメントに力が足りませんが、それでも来た当初に比べるとそういったタイプのお店が目に見えて増えているのを感じます。と同時に、いわゆる昔からのケーキ屋さん(写真は一般的な?品揃え、よく見かける感じです)というか、スペインで一般的な甘いものを売るお店の商品と、ファンシーと私が称するお店での甘いものとはかなりの乖離があるように見えます。味に関して甘すぎると日本人が感じるのはスペインに限らずおそらく欧州全般そうでしょう。日本のほんのり甘い、の味覚をファンシー系のお店は(それほど数を知っているわけではありませんが)習得しつつあり、非常に嬉しいのですが(過剰な糖分摂取は良くないですし)どうもスペインのそれらは形が大きく、見た目の仕上がりは決して繊細ではないことも確かで、これも一つのスペイン的特徴だと見ています。
変わらない、という様式は安心できる材料でもありますが、反面、創意工夫する、ということも安心できることに繋がるのでは、と殊ヨーロッパにおいては感じます。

La Encarnita:Calle Melendez Valdés, 45 Madrid 最近ベイリーズ(BAILEYS)のリキュール入りのチョコラテも始めたようです。
Tambor:Calle de Andres Mellado, 69, Madrid