前へ次へ

備忘録/ Memorandum

【フランスのグルメ番組/ Les Carnets de Julie】

*画像は拡大できます。
若者のテレビ離れと言われているようですが、若くもない私と夫もテレビは一切つけることがなく、ニュースはもとより天気予報をチェックすることすらない日々です。テレビは定位置にあるだけの物になっていました。見ないという状態は日本でも同じだったのですが、もっと根本的な問題で視聴が不可能という...。新しい家でテレビのアンテナ工事を忘れられ、ケーブルテレビを契約することなく半年過ごし、国外引っ越しとなりました。スペインのテレビ番組はあまりにもつまらないのと、同じ番組を繰り返し放送することが多いので次第にテレビから遠のきました。そんな数年間を送っていましたが、知人からスペインのLa2というテレビ局で放映しているフランスの食を紹介する番組の話を聞き、早速見ると...これがとても面白い!だいたい19:00から始まるのですが、可能な時は必ず見るほどハマっています。
番組は、Julieという女性が案内役で、フランスの各地の郷土料理を紹介するというベタなもの。古い赤色のオープンカー(プジョーだと思われる)に乗り、一つの地域の何軒かの家をまわります。食材にまつわる人たちで、メインの肉だったら、飼育している人だったり、野菜を育てている人、その作り方に精通している人などなど。最初はそれぞれの家でJulieが質問したり、話ながら一緒にその料理を作ったり、手伝って作ったものを食べたりの紹介。そして最後にその地域のとある人の家で(見栄えのする立派な家や素晴らしいロケーションの家が多いです。これもまたよくできている)作り手たちが集まってわいわい食べるという、ただそれだけの番組です。
ある日この番組を夫と一緒に見たのですが、細かいことを色々説明してくれるので(結構珍しい)理解が深まります。音声は敢えて仏語で聞くと良い効果があるように思うので雰囲気だけ味わいます。最後に皆で食べている時のそれぞれの表情をよく見ていると、いまひとつの料理の時には顔がにこやかでない人が必ずいるのも見逃せません(笑)。
最近見た地域はスペインとの国境近くの場所が続きました。面白いと思ったのは柑橘系を使ったり、オリーブオイルをふんだんに使っていたことです。私は日本語の本で、フランス各地の郷土料理が紹介されたLe Cordon Bleu監修の多少しっかり?した本を持ってきていました。それを見ても感じていたのですが、フランスも南に行くとパプリカが登場します。特にビーマンの類はフランスの北部では料理に見かけることはまずありません(若い世代はまた別だと思いますが)。夫の祖母も料理が得意ですが、祖母の家にはオリーブオイルは常備されていませんし(基本バター)、ピーマンは全体がその味になるとの理由で料理には使いません。私も実は後に残るので好んでは食べないのですが、私の夫はとにかくピーマンが嫌いで、スペインに来た当初は大変でした。大抵の食べ物に入っているからです。
フランス人は旅番組の類が大好きだそうで、それに食も加わることでますますその魅力が高いのでしょう。2012年に始まったこの番組も5シーズン目のようです。ツール・ド・フランスをかじりついて期間中見るのも、駅伝やマラソンの番組を延々と見る我々とまた少し違う気もします。大きなお皿にちょこちょこっとのって、絵画のような見栄えで礼儀正しいようなものがフランス料理ではないのです。ソースを侮る事なかれ、フランス料理の元はイタリアのメディチ家から伝わったと言われますが、今日の形に進化したのも様々な工夫があってのこと。中華料理やラーメンを独特に進化させてきた出汁文化の日本料理と非常に似通っていると思うのですが、スペインの料理と個人的には全く違うと思っています。本家フランスのFrance3テレビは日本のTBS的な(テレビ東京ではないなーとのこと)テレビ局で相当のクルーで撮影されているだろうと夫談。残念ながらフランスも日本と同じくコンテンツをオープンにしない傾向にあるのですが、YouTubeで見られる番組もあるので是非ご覧ください。



Les carnets de JulieFrance3番組のウェブサイトです。画像はfrance.tvより。