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備忘録/ Memorandum

【2015夏:Colegiataを巡ること】

*画像は拡大できます。
ほとんど夏の終わりに、以前の家のご近所さんで親しくしていただいているご夫婦が彼らの避暑先に私を誘ってくれました。行き先はSuancesという町でSantanderに近いスペインの北部です。このお誘いがとても嬉しかった理由にその少し前、奥様から木彫りの聖母像のハガキを受け取っていてどうしても本物が見たいと思っていたところでした。カンタブリア自治州の守護聖母で手のひらに乗るほどの小ささとのこと、ハガキを見てからむくむくと興味が湧いてきました。とにかく暑かった今年の夏を初めてMadridで過ごしたせいもあり、少し気分を変えるために北のほうに行ってみようと思い行き先を絞っていたところでした。
初めてスペインの北部に行ってみて、やっと一般的な?日本人が想像するヨーロッパの景色を感じました。 スペインは本当に砂漠のような土地です。夏なんて下草も枯れきってカラカラです。 この旅行で初めて高速バスに乗りました。3時間近く走らないと景色に緑は現われません。
ご夫妻は私が教会建築を見たいと言うと御歳80になられるご主人が2日間あちこち運転して連れていってくださいました。おまけにこのご夫妻は30年以上前からスペインのロマネスク建築を見てきた、ということでいく先々でガイド付き、司祭さんとは顔見知りの教会、また閉まっていたのに偶然内部を見ることができた教会もあり幸運でした。


実は私はスペインに行くことに決まったときあまり嬉しくありませんでした。
ヨーロッパに住めるというのは願ってもないチャンスではありましたが、考えてもみなかったスペイン語圏で語学の知識もゼロ。出発ギリギリまで仕事をしていたり、引っ越しでとにかく忙しくスペイン語は住んでから勉強しよう、とやってきたことが甘かったです。来て半年は全然楽しくありませんでした。
そのうち偶然仕事をすることになり、またそれも忙し過ぎ等理由があって辞めたのですが、辞めてから気持ちに余裕ができたのか、少しは生活に慣れたのか、急に楽しくなってきました。
その理由に...何にもないところにぽつんと建っている教会の本をずっと欲しいと思っていたのですが、それがロマネスク建築の本でした。恥ずかしながら自分が好きな感じは把握していたのですが、それがロマネスク期だったということに最近気がつき、この旅につながりました。右の写真はスペイン語でcanecilloと言い、日本語で持ち送り(飾り)と言うそうです。もう今これに夢中です。私の滞在はあと1年弱。その間にどれだけの教会巡りができるかな、と少ない予算であれこれ考える日々です。