Arts スペイン

ブラームスを2日間

 

 

 

5月バルセロナ。

ブラームスの交響曲1番から4番、2日間の公演。スウェーデン放送響のツアーで、指揮者はもちろんあのお方。スペイン国内なら旅の心の余裕あり。ブラームスをまとめて聴くことができる機会を逃す手はない!ちょうどパリから友達が遊びに来ていたので、夫のことも心配いらな〜い。5月のちょうど良い気候の欧州でのコンサート。楽しみに出かけました(いつものこと)。

バルセロナの観光客の多さ、街の賑わい、多種多様な人種。2月のパリの時とは違う、本格的に日常に観光が戻って来ているように感じました。島の南部の観光客はドイツ、イギリス、ロシア、フランスの人々が多いですが、バルセロナでアメリカアクセントの英語を久しぶりに聞いた気がします。

到着早々驚いたこと。服装から察するに中東系の人々。バス停の順番待ちを無視、運転手と案内の人の警告も無視。真っ先に乗り込んで行きましたが、バスカードが使えず降ろされていました。特にパンデミック以降、自己中心的な人の態度や些細な事が気になるようになりました。人々はコロナで何を学んだのやら。

バルセロナでコンサートの経験は過去にもあるのですが、カタルーニャ音楽堂は初めて。席はいつもの上の方の安い席。陽が長いこの頃は、開演になってもガラス窓がうっすら明るく、外の喧騒も聞こえてくる…嫌な予感。初日の演目は、3番、1番の順で、その日は月曜日。座席はさほど埋まっていませんでした。スペインで月曜日からコンサートは無茶な気もしましたが、ツアーなのでさもありなん。バルセロナの観客は勝手な想像でスノッブな人々が多いのだろう(マドリードと比較して)と思っていました。ですが、私のコンサート経験で体験したことがない酷いマナーに、演奏している人達も指揮者も気の毒に思えてしまった。観客のマナーに加えて、座面が上がる音がうるさく、施設にも問題があるんじゃないかと思いました。演奏の途中でその座席をバタンとさせて、真ん中の出入り口から出て行く人がいるのはかなり驚きでした。

最近はコンサートに行っても集中を削がれる事が多く、こうして毎回文句ばかり書いていることも嫌になります。ですが、子供の頃、どうだったか?と思い返すと、隣にいる母が知っているフレーズで首を動かす動作が気にはなりましたが、何かの音や(ごくたまに時計の音)咳払い等でそんなに気になったことはありませんでした。携帯が無い時代とは関係なく、ゴホゴホやるのも極力抑えていた気がするのですが、少なくとも子供心にもそういうものだと思っていました。

 

タピエス美術館
タピエス美術館

 

日中は、タピエスの美術館とカタルーニャ美術館に行きました。何度もですが、アートが身近にあるって本当に良いこと。音楽も然り。5月は夏みたいに暑くなる日が日本でもありましたが、夕方のちょうど良い心地の時にその辺にある店でアイスクリームを食べて(オルチャータの店でした。オルチャータってご存知ですか?)気持ちを落ち着かせてコンサートに向かう。トイレの心配がなければ軽く一杯行きたいところ。

この日のコンサートは音源のみの放送が後日ありました。よってこの年の夏はiPodでずーっと1番から4番を聞き続けました。過去にサイトウキネンオーケストラで聴いた1番が強烈だったのですが、このオケの4番にすっかり魅了されました。すごいな。オーケストラって本当に素晴らしい。またひとつ良いコンサートに行く事が出来て、良い余韻で島に帰りましたが、バルセロナからはマドリードより飛行時間が長いことを初めて知ったのでした。

 

 

オルチャータ:夏になると昔は道端で鍋?から汲む式のオルチャータ売りの人がいた、という話を聞きました。広場で見た事があるような気がしますが、この店も客のほとんどがそれを注文していました。Wikipediaには「キハマスゲの地下茎(チュファ)の絞り汁に水、砂糖もしくは蜂蜜を加えて作られるのがオルチャータ・デ・チュファである」とあります。スーパーマーケットにも通年ペットボトルのそれが売られています。おじさんが蓋を開けている中にお玉が入っています。足の高い椅子に座りながら、ぼーっと店の人の動きを見ていたのですが、看板にコーヒーフロート!これは驚き。スペインはアイスコーヒーを頼めますが、氷がいっぱい入ったグラスに店の人が暖かいコーヒーを入れています(たぶん…)。この店はあらかじめ冷えたコーヒーにアイスクリームを乗せて提供していたので、日本の喫茶店みたい、と思いました。